会社設立後、最初にやるべき必須ステップとは？

会社設立後に必要な税務手続き

法人設立届出書の提出

　会社設立後は、速やかに「法人設立届出書」を税務署に提出する必要があります。この届出書は、法人が設立されたことを税務署に知らせるための重要な書類です。法人設立の日から原則として2ヶ月以内に提出しなければなりません。提出の際には、定款や登記事項証明書、株主名簿などの添付書類が必要です。この手続きは会社設立後すぐにやるべき5つのことの一つに数えられ、事業開始の基盤作りとなるため、漏れなく対応しましょう。

青色申告承認申請書の提出

　「青色申告承認申請書」は、税制上の優遇を受けるために必要な届出書です。この申請を行うことで、所得金額の控除や赤字の繰り越しなどの特典を得られる可能性があります。申請書は会社設立日から3ヶ月以内、または事業年度開始日のいずれか早い方までに税務署へ提出する必要があります。青色申告は事業運営における節税対策としても極めて有効であるため、新しく事業を始める時には必ず検討したい手続きの一つです。

給与支払事務所等の開設届出書の提出

　会社設立後、従業員に給与を支払う場合は、「給与支払事務所等の開設届出書」を提出しなければなりません。この書類を提出することで、給与を支払う際の源泉所得税の対応が開始されます。給与の支払いを行う月の前月末日までに管轄の税務署へ提出する必要があります。この手続きは従業員の雇用に直結するものであり、会社運営の重要なポイントになってきます。届出の際には、しっかりと必要書類を揃えた上で行いましょう。

都道府県および市区町村への地方税届出

　会社設立後は、都道府県税事務所および市区町村役場にも地方税に関する届出を行う必要があります。この手続きは、法人住民税や事業税といった地方税の課税に必要な情報を届け出るためのものです。提出期限は自治体ごとに異なる場合がありますが、原則として法人設立後1ヶ月以内に行うことが求められています。特に地方税は自治体によって書類形式や記載内容が異なる場合があるため、地域ごとの対応を確認し、申請や手続きに漏れがないように進めることが重要です。

社会保険や労務に関する手続き

年金事務所での社会保険手続き

　会社設立後、従業員を雇用する場合、速やかに年金事務所での社会保険手続きを行う必要があります。この手続きには、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」や「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」など、必要な書類を提出することが求められます。これにより、従業員が適切な社会保険に加入できるようになります。これらの手続きは設立から5日以内に行わなければならないため、スケジュールを管理しながら進めましょう。

労働保険関係の届出

　次に必要な手続きとして、労働保険の関係届出があります。「労働保険保険関係成立届」や「労働保険概算保険料申告書」を労働基準監督署や労働局に提出します。この手続きは会社が従業員の雇用を開始する上で必須です。また、万が一労働災害が発生した場合に備えるためにも、適切な保険加入を行うことが重要です。届出期限を守りつつ、必要な書類を確実に提出してください。

労働基準監督署への必要書類の提出

　労働基準監督署には、従業員の労働条件を明確にした「就業規則（変更）届」や、「適用事業報告書」を提出する必要があります。特に従業員が10名以上になる場合、就業規則の届け出は義務となります。また、労働時間や賃金に関する取り決めが明確であることが、労働環境の健全化につながります。これらの書類を正確に作成し、提出することは会社運営の基盤を整備する重要なステップです。

ハラスメント対策や職場環境整備

　新しく事業を始める時、何を優先するべきか迷う場合もありますが、従業員が安心して働ける環境づくりも欠かせません。会社設立後すぐにやるべき5つのことの一つとして、職場内のコミュニケーションやハラスメント対策の強化を挙げることができます。具体的には、職場環境に関する相談窓口の設置やハラスメント防止のためのポリシー策定が必要です。これにより、従業員のモチベーション向上や長期的な事業継続の基盤を築くことができます。

法人としての各種準備と整備

法人銀行口座の開設

　会社設立後は、法人専用の銀行口座を開設する必要があります。法人銀行口座は、事業の資金管理を明確にし、信頼性を示すためにも重要なステップです。口座開設に必要な書類には、会社設立登記簿謄本、印鑑証明書、定款の写しなどがあります。金融機関によって必要書類が異なるため、事前に調査し適切に準備を進めましょう。特に新しく事業を始める時は、事業計画書の提示も求められる場合があるため注意が必要です。

資本金の管理と仕訳登録

　会社の資本金は、設立直後の重要な財源であり、適切に管理することが求められます。設立時に振り込んだ資本金は、法人口座を開設した後に移動させることが一般的です。また、資本金の管理情報を正確に会計帳簿へ登録し、仕訳作業を適切に行うことが必要です。この作業は今後の税務申告や資金調達時にも大きな影響を与えるため、経理・会計システムを導入して管理効率を高めるのもおすすめです。

会社設立登記後の各証明書取得

　会社設立登記が完了した後は、速やかに登記関連の証明書類を取得しましょう。主に登記簿謄本や印鑑証明書が必要となります。これらは、法人口座の開設や税務署や地方自治体への届出、取引先との契約締結時など、様々な場面で使用されます。会社設立後すぐにやるべき重要なタスクの一つとして、証明書類の取得を忘れないようにしましょう。

契約書や請求書のひな形作成

　会社を運営する上で、契約書や請求書の雛形を準備しておくことは非常に重要です。これにより、取引先や顧客とのやり取りがスムーズになり、社内業務の効率化にもつながります。契約書には、基本的な取引条件や責任範囲を明確に記載することが求められます。一方、請求書は、税務署への対応や顧客とのトラブル防止のため必要な情報を正確に記載することが大切です。適切な雛形を用意することで、ビジネスの迅速な開始をサポートできるでしょう。

事業活動を始めるための必須準備

事業計画書や経営方針の策定

　会社設立後、事業活動を円滑に進めるためには、事業計画書や経営方針を策定する必要があります。新しく事業を始める時、何を達成したいのか、どのような戦略で事業を展開するのかを明確化することが重要です。具体的には、短期・中期・長期の目標や業務内容、収益見通しなどを盛り込みます。また、経営方針は会社の基本的な方向性を定めるものであり、従業員や関係者と共有し、共通認識を持つために重要な役割を果たします。この準備は、会社設立後すぐにやるべき5つのことの一つとして位置付けられます。

取引先や顧客との契約・交渉

　事業を開始するうえで、取引先や顧客との契約・交渉は必要不可欠なステップです。ここで重要になるのが、契約書の細かな条項を確認し、双方の意向やビジネス条件に相違がないようにすることです。さらに、誠実な交渉を行うことで、長期的な信頼関係を構築することが可能です。取引の開始を円滑に進めるためには、契約内容や条件に関する事前調整が欠かせません。このプロセスは、会社を適切に運営し、信頼される企業としての基盤を築くために重要です。

名刺やパンフレットの作成・配布

　名刺やパンフレットは、会社の顔とも言える存在です。設立したばかりの会社を広く認知してもらうためには、これらの作成と配布が必要です。名刺には代表者名や会社の連絡先、ロゴなどを記載し、ビジネスの第一印象として重要な役割を担います。一方、パンフレットには提供する商品やサービスの詳細な情報を盛り込み、顧客や取引先に分かりやすく伝えることがポイントです。これらを活用することで、初対面の取引先や顧客との信頼構築をスムーズに進められるでしょう。

情報公開やマーケティング活動の開始

　設立後すぐにやるべきこととして忘れてはならないのが、情報公開やマーケティング活動の開始です。自社ウェブサイトやSNSアカウントを立ち上げ、会社やサービスに関する情報を発信することは、知名度向上に寄与します。また、広告や広報活動を通じて、ターゲットとなる顧客に直接アプローチすることで、顧客基盤を確立することができます。このように、マーケティングを重視することは、会社設立後の事業成功の鍵となるのです。

今後の業務運営を支える体制づくり

経理・会計システムの導入

　会社設立後、スムーズな事業運営を継続するためには、経理・会計システムの導入が重要です。これにより、日々の取引の記録や決算業務、税務署への申告に必要な書類作成が効率的に行えます。最近ではクラウド型の会計ソフトが普及しており、インターネット環境があればどこでも経理作業が可能です。特に青色申告を選択する場合、適切な帳簿管理が求められるため、早期に経理体制を整備することが必要です。

バックアップ体制の構築

　新しく事業を始める時、何するべきか迷う方も多いですが、データのバックアップ体制を整えることは見落としがちですが非常に重要なポイントです。会計データや顧客情報、契約書の管理には特に注意が必要です。予期せぬトラブルやデータの紛失に備え、クラウドサービスの利用や外部ストレージへの定期的なバックアップを実施しましょう。これにより大切なデータを安全に保ち、事業の継続性を確保することが可能です。

経営陣や社員間のコミュニケーション整備

　会社設立後すぐにやるべき5つのことの一つとして、内部のコミュニケーション環境の整備が挙げられます。効果的な意思疎通は事業を成功に導く重要な要素です。現在では、チャットツールや社内専用の業務アプリなどを利用してリアルタイムで情報を共有する仕組みを構築する企業が増えています。定期的なミーティングを実施し、経営方針や目標を全員で共有することも有益です。

法令順守やコンプライアンスの確立

　会社設立後に事業を円滑に進めるためには、法令順守やコンプライアンス体制の確立が欠かせません。税務署や労働基準監督署への正式な届出や、許可・申請事項の遵守はもちろん、法律に基づいた適切な運営を心がける必要があります。また、従業員に対してもコンプライアンス意識を高めるため、定期的な研修を実施することが推奨されます。これらの施策により、信頼される企業運営が可能となります。

投稿者プロフィール

武石大介: 2017年に公認会計士試験に合格し、監査法人で複数年にわたって監査経験を積んできました。また公認会計士試験の合格前後に2社設立と3つの新規事業を行った経験があります。1社事業は売却、1社はクローズしました。

現在は独立し、会計士としての専門知識と自身の起業・事業経験を活かし、会計・財務支援をはじめ、起業・経営に関するアドバイスも行っております。
具体的には、資金調達・補助金申請サポート、財務分析、事業計画の作成支援、記帳代行など、実務的かつ実践的な支援が可能です。