月次決算をスムーズに進める！経理業務の効率化チェックリスト10選

月次決算の重要性と効率化のメリット

月次決算とは？経理業務で中心となるプロセス

　月次決算とは、毎月末に経理が実施する決算作業のことを指します。具体的には、各種帳簿の締め作業や残高の確認、収益や費用の確認を通じて、その月の経営状況を把握するための重要なプロセスです。この作業を適切に行うことで、貸借対照表や損益計算書といった財務諸表の基礎が構築され、経営判断に求められる正確な数字が提供されます。

　月次決算は単なる経理業務の一環ではなく、企業の財政状態を正確に把握するための核となる業務です。年度末に焦らないためにも、月次でやるべき経理チェック項目を整備しておくことが大切となります。

月次決算をスムーズにする重要性とは？

　月次決算をスムーズに行えるかどうかは、企業の経営に直結する重要なポイントです。このプロセスが停滞すると、経済的な判断を求められる場面でタイムリーに対応できない可能性があります。また、正確な数字を期日内にそろえることで、取引先や金融機関との信頼関係も維持されやすくなります。

　さらに、月次決算をスムーズに進めておけば、年次決算の際の作業負荷が軽減されます。「年度末に焦らない！」を実現するためにも、日々の積み重ねによる準備が肝要です。

効率化による時間とコストの削減の効果

　月次決算の効率化は、時間とコストの削減に大きく貢献します。クラウド会計ソフトなどを活用することで、手動で行っていた作業の多くを自動化でき、入力ミスの防止にもつながります。また、会計ソフトが金融機関と連携して自動仕訳を行うことで、担当者が確認すべきチェックポイントを絞り込むことが可能になります。

　効率化された月次業務は、経理担当者が他の重要業務に時間を割ける余裕を生み出し、企業全体での生産性向上をサポートします。チェックリストを活用して効率的なフローを作り上げることで、無駄を省き、より付加価値の高い業務に集中できる環境が整います。

効率的な経理業務を進めるための準備と仕組み作り

会計ソフト導入で月次の作業負荷を軽減

　月次決算の作業負荷を大幅に軽減するためには、会計ソフトの導入が重要です。特にクラウド型の会計ソフトを使用することで、金融機関口座やクレジットカードとの連携が可能になり、自動で仕訳が行われます。これにより、毎月の仕訳作業の時間を短縮でき、手作業でのミスも防げます。また、年度末に焦らないようにするためには、日々の経理業務を効率化しておくことが欠かせません。月次決算チェックリストを活用し、必要なデータが正確に入力されているか、毎月確認する習慣をつけましょう。

デジタル化の重要性とペーパーレス化の進め方

　ペーパーレス化は、経理業務を効率化するための重要な施策です。デジタル化により、請求書や領収書の保管が物理的なスペースを取らず、検索作業も容易になるため、時間の節約につながります。電子帳簿保存法に対応したシステムを導入することで、法的な要件を満たしながらデジタル管理を進めることも可能です。紙で保管していた帳簿類やレシートはスキャナーやスマートフォンでデジタル化し、仕訳フォルダに整理しておくと良いでしょう。「経理業務の効率化」を意識しながら、経営全体の生産性向上にもつなげることを目指しましょう。

担当者の役割分担を見直すポイント

　経理業務において、担当者の役割分担を明確にすることは、効率化の大きなカギです。月次決算のプロセスにおいて、個々の担当者がどの部分を受け持つのかを明確化し、チーム全体で共有することでミスを減らすことができます。また、専門性が求められる部分にはスキルの高いメンバーを配置するなど、強みを活かした分担を検討するのも有効です。さらに、定期的に進捗を確認し、必要に応じて業務フローやチェックリストを見直すことで、日々の業務進行がよりスムーズになります。

日次業務の自動化が月次決算を楽にする理由

　月次決算をスムーズに進めるためには、日次業務を自動化しておくことがポイントです。例えば、会計ソフトの自動仕訳機能を活用すれば、日々の取引データを自動的に記録できるため、手作業の手間を省けます。これにより、月次の帳簿確認が劇的に簡単になります。また、請求書発行や支払いのスケジュール管理も自動化することで、ミスや二重入力を防ぎます。このように日次の段階で業務を効率化しておけば、月次決算を迎える際に過度な作業負荷がかからず、余裕を持って業務を進められるようになります。

経理業務で見落としがちな要点チェック

請求書と領収書の管理の整備

　請求書と領収書の管理は、経理業務において最重要項目の一つです。これらの書類が適切に整理されていないと、決算時に必要な情報が見つからず、年度末に焦る原因となります。請求書は発行日、支払期限、顧客名などを確認し、未処理のものがないかチェックしましょう。また領収書に関しては、経費の計上漏れを防ぐため、月次で整理し、ファイルやデジタル管理を活用することが効率化のポイントです。クラウド会計ソフトを使用すれば、レシートや領収書をスキャンしてデータとして保存でき、年次決算時にも役立ちます。

未回収債権の管理でミスを防ぐ方法

　未回収債権は、企業の資金繰りに大きな影響を与える項目です。そのため、月次で未回収の請求が発生していないかを確認し、督促の手配を行うことが重要です。この手順を怠ると、未回収が長期化し回収不能になるリスクが増します。効率的な管理方法として、顧客ごとの支払状況を一覧で把握できる仕組みを準備し、必要に応じてリマインダーを送れるようにすると業務がスムーズです。また定期的に経理チーム内で未回収債権の状況を共有し、早期対応を徹底する体制を作ることが重要です。

現金管理と預金管理で見るべきポイント

　現金管理と預金管理は、経理業務の基本中の基本ですが、忙しい日々の業務の中で疎かになりがちです。月次決算の際には、貸借対照表上の「現金及び預金」が実態と一致しているか確認することが欠かせません。現金についてはレジや小口現金の残高を確認し、帳簿と実際に差異がないかチェックします。また、預金については銀行口座の明細と照合し、取引漏れや記帳ミスがないよう注意しましょう。クラウド会計ソフトを活用すれば、金融機関口座と連携してリアルタイムでデータを取得でき、効率化が期待できます。

帳簿と現実の差異チェックを習慣化

　帳簿上の数字と実際の資金が一致しているかを確認する作業は、月次決算を正確に行うための必須項目です。この確認作業が不十分だと、年度末の決算時に修正が必要となり、結果的に大きな手間を生み出します。毎月、帳簿データと現実の取引状況や残高を比較し、差異が見つかった場合にはその原因を追求し修正しましょう。このようなチェックは、ミスや不正の早期発見にもつながります。効率化のポイントは、日次業務で差異をチェックする仕組みを組み込み、業務フローの一環として継続的に行うことです。

アクションプランと効率化の実現に向けて

作業フローを見直し必要な手順を洗い出す

　月次決算を効率化するためには、まず現状の作業フローを見直し、必要な手順を洗い出すことが重要です。具体的には、月次で繰り返し行う経理業務の中で非効率な作業や不要な手順がないかをチェックリストにまとめて確認しましょう。例えば、貸借対照表や現金及び預金管理の処理において、手入力が多い場合は自動化ツールの活用を検討することもポイントです。効率的な作業フローを作ることは、月次だけでなく年度末や確定申告といった年次業務の負担軽減にも繋がります。

経理チーム全体での研修・情報共有の大切さ

　経理チーム全体での研修や定期的な情報共有の場を設けることは、業務効率化を進める上で不可欠です。チーム全員が統一された作業手順を理解していることにより、ミスや作業の属人化を防ぐことができます。また、月次決算や日次業務の対応に必要なスキルを高めるためにも、新しい会計ソフトやクラウドツールの操作方法、ペーパーレス化の進め方などを解説する研修機会を設けましょう。これにより、経理業務全体の生産性アップが期待できます。

効率化施策を継続的に改善する仕組みを作る

　一度効率化を実現しても、その後の運用や環境の変化に対応できなければ、再び非効率な状況に陥る可能性があります。そのため、効率化施策を継続的に改善する仕組みを作ることが重要です。例えば、業務プロセスに関する定期的な見直しや、経理業務の中で発生した課題に対する対策をチーム全体で共有することが挙げられます。また、技術やツールの進化も常に注視し、新たな方法を試行する柔軟性を持つことが経営の安定化やコスト削減に繋がるポイントとなります。

投稿者プロフィール

武石大介: 2017年に公認会計士試験に合格し、監査法人で複数年にわたって監査経験を積んできました。また公認会計士試験の合格前後に2社設立と3つの新規事業を行った経験があります。1社事業は売却、1社はクローズしました。

現在は独立し、会計士としての専門知識と自身の起業・事業経験を活かし、会計・財務支援をはじめ、起業・経営に関するアドバイスも行っております。
具体的には、資金調達・補助金申請サポート、財務分析、事業計画の作成支援、記帳代行など、実務的かつ実践的な支援が可能です。